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浦和地方裁判所 昭和47年(わ)157号 判決

本籍

埼玉県岩槻市仲町一、七四七番地

住所

埼玉県岩槻市仲町二丁目一〇番二八号

貸金業、パチンコ店経営

金子好一

大正一五年三月二九日生

所得税法違反被告事件

検察官

伊藤実 出席

主文

被告人を懲役四月および罰金二〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金五、〇〇〇円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

本裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、埼玉県岩槻市仲町二丁目一〇番二八号に居住し、同所で貸金業ならびに建材、工品販売業を営なむほか、昭和四三年一二月一日以降同市本町三丁目一一番六号においてパチンコ店「プリンス」を経営しているものであるが、所得税を免れようと企て、昭和四三年中における総所得金額は別紙修正損益計算書のとおり一六、九九〇、九一九円で、これに対する所得税額は別紙脱税計算書のとおり七、五八一、六〇〇円であるのにかかわらず、主たる収入源となつている貸金業に関し、別人あるいは架空人名義の預金を設定しこれを貸付金の出金あるいは返済金および利息の入金に利用する等の行為により所得を秘匿したうえ、昭和四四年三月一五日埼玉県春日部市所在春日部税務署において、同税務署長に対し、総所得金額は九二六、三三〇円であつてこれに対する所得税額は四一、〇〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて不正の行為により所得税七、五四〇、六〇〇円を免れたものである。

(証拠の標目)

一、 被告人の当公判廷における供述

一、 被告人の検察官に対する各供述調書(三通)

一、 被告人の大蔵事務官に対する各質問てん末書(一四通)

一、 被告人作成の答申書

一、 証人秋山幸一、同小沢直吉の当公判廷における各供述

一、 秋山満美の検察官に対する供述調書

一、 田中保雄(二通)、秋山満美(二通)、池沢清(二通)、金子光蔵、末広光の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、 新井喜久、秋山清、荒井君子、荒井武一、岩本晃、石川久男、石川清蔵(二通)、磯部留三郎、江口義助、(二通)、遠藤梅吉、岡本初稔、小沢シゲ、折原重信、岡田隆一(三通)、鴨田金之凾、金子光蔵、末広光(二通)、小寺且已、小谷野政太郎、小島とら、佐久間庸行、椎赫立、斎藤春蔵、清水一男、林惣次郎、品田進、鈴木勝雄、関野正二、染谷久雄、田中のぶ、竹内昇、田口一郎(二通)、田宮平、永島桂助、並木秀男、根岸滉、羽方島一、平野一郎(二通)、福田良雄、松田次郎、丸山富子、梶武比古、松崎達雄、三浦勝已、神保節子、森住七左ヱ門、吉岡万造、中村一夫、加藤和夫、浅見一郎、杉田四郎、石井英顕、石川三郎、蓮沼淳一、斎藤定久、原田恒蔵、深沢博、山本幸左ヱ門、中野仲次郎、正野秀夫、久末金次郎、田中徹夫、荻原利春、長谷川裕晃、斎藤満寿、長部省吾、加藤幸富、杉山正淳、秋山満美、田中保雄、高橋栄、森田純央、簾藤昇、武井敏治、北川喜一、高橋博、増田勉、篠崎彦夫、高橋清一、黄雪出、山内政一作成の各答申書

一、 秋山満美、森田純央、小島義一作成の各供述書

一、 平野功作成の回答書

一、 収税官吏作成の

1  脱税額計算書

2  修正損益計算書

3  債務者別貸付金利子収入合計表

4  債務者別貸付金利子収入等明細表綴(二通)

5  中村一夫に対する貸付金各年末残高調

6  川村益之、平井照雄に対する貸付金および受取利子調

7  岩槻砂利名義で岩槻市役所に販売した砂利取引調

8  パチンコ「プリンス」の賃貸料および売上高調

9  岩槻砂利名義で岩槻市役所に販売した砕石の仕入金額調

10  パチンコ「プリンス」の雑所得および営業所得の必要経費調

11  金融、建材、藁工品、日話関係経費調

12  金融機関別預金借入金調

13  債務者貸付金利子収入の確定方法についてと題する報告書

14  埼玉県信用金庫岩槻支店調査関係書類

15  武蔵野銀行岩槻支店調査関係書類

一、 検察事務官作成の貸付金利息収入検討表

一、 春日部税務署長、春日部県税事務所長、岩槻市長、埼玉県信用金庫岩槻支店長作成の各証明書

一、 松本利雄、明石純一、深井嘉夫、長谷川宗三作成の各証明書

一、 押収にかかる貸金メモ一枚(昭和四七年押第一二九号の一)、吉岡万造に対する催告書(内容証明)一通(同号の二)、埼玉県信用金庫岩槻支店当預元帳より抜すい書一綴(同号の三)、普通預金通帳六冊(同号の四)、請求書領収書綴三綴(同号の五)、当座小切手帳一三冊(同号の六)、給料台帳一綴(同号の七)、送り状三一枚、請求書一枚、田口建材の石川油店宛封筒一通以上一綴(同号の八)

(法令の適用)

被告人の判示所為は所得税法二三八条一項に該当するので、懲役と罰金を併科することとし、所定刑期および金額の範囲内で被告人を懲役四月および罰金二〇〇万円に処し、右罰金を完納することができないときは刑法一八条により金五、〇〇〇円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置することとし、情状により同法二五条一項を適用して本裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予することとする。

よつて主文のとおり判定する。

(裁判官 中野保昭)

修正損益計算書

自 昭和43年1月1日

至 昭和43年12月31日

〈省略〉

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